2016/8/7経済・ビジネス
大ヒットの予感!シリーズ動員1億人突破の『シン・ゴジラ』!映画配給会社の東宝の株価に影響はあるか?
・最新映画のシン・ゴジラの売れ行き詳細
・配給会社は映画の商社のようなものだが、制作から興行までの垂直統合もある
・東宝の株価とヒット作の関連はあまりなく優待券目的が推奨される
大好評の新作映画、シン・ゴジラとその売上について
シン・ゴジラは12年ぶりに東宝が製作したシリーズ29作目のゴジラ映画です。ハリウッド版GODZILLAを上回る、118.5メートルの史上最大のゴジラをフルCGでスクリーンいっぱいに描き出しています。シン・ゴジラは2016年7月29日に封切られ、8月1日までの公開4日間で観客動員71万人、興行収入10億円、ゴジラシリーズの累計観客動員数は1億人を達成しました。これは邦画実写シリーズ作品で最高記録となります。さぞかし配給会社も儲かっていると思うのですが、そもそも配給会社とはどのように儲けるのでしょうか?
配給会社が収益を得る仕組みとは?
この『シン・ゴジラ』の配給会社は東宝です。東宝を含めた映画配給会社は映画という商品を流通させる商社のようなものです。映画の製作者は直接映画上映を行いません。映画の卸売会社たる配給会社に依頼し、映画という商品が消費者(観客)に届くように、小売店たる映画館(劇場)に有利な条件で販売してもらいます。映画館は興行収入から配給会社に対して決められた映画上映料金を支払います。それが配給会社の収入となります。ちなみに、配給会社はその中から映画の製作者に対し制作の対価を支払います。東宝は配給部門と興行部門の両方を有しており、シン・ゴジラは東宝オリジナルの制作映画です。映画製作、配給、興行を一社で行うことを垂直統合といいますが、今作品については東宝が映画流通段階の全てを担っているので経営効率もいいと思われます。
東宝の大ヒット作品と株価との関係は?
それでは、ヒット作があれば株価も上昇するのでしょうか。東宝の過去のヒット作としては2012年4月公開の『テルマエ・ロマエ』、同年7月公開の『BRAVE HEARTS 海猿』、2013年12月公開の『永遠の0』などがあります。これらの作品の公開前後の株価状況を少し紹介しますと、テルマエ・ロマエは公開後より公開前の株価が良く、海猿は公開前の1300円台半ばから100円ほど上がりましたが、公開後すぐの翌月下旬には元に戻っています。永遠の0は大ヒット作品のためか、公開前の2100円台から公開前後で2200円を超え、年末は2300円台と漸増しました。ただ、勢いは続かず翌年1月下旬には2100円以下と低迷しています。上記のことから、近年はヒット作があっても株価の急上昇にはつながらず、上昇してもすぐに戻る傾向がみられます。東宝の株価は市場全体の市況に左右されると考えられます。最近の映画産業は定評のあるアニメや漫画、テレビドラマの作品など、一定のファンが見込める映画作りをしており、保守的な志向が見られます。東宝は不動産業も収益源として持っており、大ヒット作品があったとしてもそれが収益の大幅増大につながらないので、株価はディフェンシブ銘柄のような動きを見せます。東宝の株は映画好きな方が優待券目当てなどで長期投資として買うのが適していると言えるでしょう。