2016/8/7経済・ビジネス
ヨーロッパの銀行へのストレステストって何? 何をテストするの?
金融危機が発生した場合、金融機関の財務体質がどの程度傷つくかをチェックするのがストレステストです。イギリスのEU離脱の結果、EU圏内が景気後退に陥る リスク が高まったため、ストレステストが実施されました。テストの結果、イタリアのモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナの資本増強が必要なことが判明しました。
金融機関に対して実施されているストレステストの内容
2008年にリーマンショックが発生して以来、欧州銀行監督機構は定期的にEU圏内の主要金融機関に対してストレステストを実施しています。ストレステストの内容は、金融市場において不測の事態が発生した場合、それぞれの金融機関の
資産
の健全性に対してどの程度の損失インパクトを与えるかを測るものです。そして、複数の
リスク
シナリオに基づいて損失発生金額を査定し、資本の不足額を試算します。このテストの結果に基づき、資本不足が懸念される金融機関に対しては資本増強を促して、金融システムを安定化させることを目的としています。
今回のストレステストは、どのような状況を想定して実施したのか?
日本時間の6月24日に実施されたイギリスの国民投票の結果、イギリスがEUから離脱することが決定しました。そして、新たに発足したイギリスのメイ内閣においても、EU離脱交渉を進めることを明言しています。このイギリスによるEU離脱決定を受けて、EU圏内の景気失速の可能性が高まったため、主要金融機関の景気失速
リスク
への対応力を測るために、今回ストレステストが実施されました。テストの内容は、2016年と2017年のEUの
経済成長率
がマイナスとなると仮定し、不動産価格や新興国の為替変動
リスク
も織り込んだ形となっています。今回のストレステストの焦点となっているのは、多額の
不良債権
を抱えるイタリアで第3位の規模を誇る銀行のモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナの査定結果です。また、訴訟関連費用の増加などで収益悪化が顕著となっているドイツ銀行も注目されました。