2016/8/7経済・ビジネス
ヘリコプターマネーって何? 空からお金をばら撒くの?
・政府が発行する国債をそのまま日本銀行が引き受ける行為をヘリコプターマネーという。
・政府は増税することなく財政出動の財源を手に入れることができる。
・ヘリコプターの規模が巨大すぎると、輸入物価が上昇してインフレになる
リスク
がある。
ヘリコプターマネーとは、どういうことか
ヘリコプターマネーとは、日本政府が景気浮揚のために財源を捻出するために、大規模に国債を発行し、この全額を日本銀行が買い入れる行為のことを言います。
ヘリコプターマネーのメリットやデメリット
ヘリコプターマネーを実施することのメリットは、増税をすることなく財政出動のための財源を捻出できることです。そして、公共事業を増額したり、低所得者へ一時的な給付金を支給することによって個人消費を増大させることを図ることができる点にあります。
デメリットは、50兆円規模や100兆円規模でヘリコプターマネーを実施すれば、日本政府の国債発行残高が急膨張してしまうので、日本政府の財政不安が問題となってしまう点です。日本政府の財政危機が世界的に注目を浴びてしまうと、為替が大きく
円安
に動いてしまい、輸入物価が大幅に上昇するなどしてインフレとなってしまうことが
リスク
要因です。
日本の金融政策とヘリコプターマネーの関係とは
日本の 金融政策 は、国債を大規模に購入したり、マイナス 金利 を導入することによって、全体的な 金利 水準を低めに誘導することにあります。そして、 金利 水準を低めに誘導することによって、民間企業が低い 金利 で金融機関から資金を借り入れて、設備投資を増やしたり人材の採用を増やすことを目的としています。民間企業が設備投資を増やしたり、人材採用を増やせば、失業率は減少して個人消費は増加していきます。そのことによって、日本政府の税収は自然に増加していきます。日本銀行の 金融政策 の最終目標はこの点にあります。しかし、日本銀行が2016年1月にマイナス 金利 を導入したことについては、思わぬ副作用が露呈してしまいました。銀行や信用金庫の経営を圧迫することになってしまったのです。もっとも打撃を受けているのが、融資業務を認可されていない、ゆうちょ銀行です。ゆうちょ銀行は預金者から預かった資金を、国債によって運用しています。ところがマイナス 金利 の導入によって、国債で運用することが困難となってしまったのです。いまや、ゆうちょ銀行の経営は袋小路に入り込んでいます。そこで、日本経済を浮揚させるための方策として、今後は日本銀行による 金利 操作ではなくて、政府による財政出動の方に力点を置くべきとする議論が急浮上しているのです。