2016/8/11経済・ビジネス
天皇陛下が生前退位のご意向! どんな業界が影響を受けるの?
・天皇陛下が高齢であることを理由に、生前退位を望まれている
・元号変更に伴い、IT業界に特需が生まれることが想定される
・昭和から平成へ元号が変更となったときは、官公庁などの帳票で「昭和64年1月9日」などと表示される例が相次いだため、IT業界には特需が発生した
天皇陛下が生前退位のご意向
8月8日、天皇陛下が国民向けにビデオメッセージを公表され、事実上の生前退位のご意向を表明されました。7月中旬にNHKが、天皇陛下が生前退位の意向をお持ちであると報道したときは、多くの国民が驚きをもって受け止めましたが、各マスコミの世論調査によれば約80%の国民が生前退位に賛成を表明しています。
元号が変わった場合、どのような業界が影響を受けるか
天皇陛下の退位が実現すると、元号が改正されると予想されます。これに伴って、さまざまな業種に影響を与えると思われますが、「需要」という面からはIT業界に特需が発生するものと推測できます。例えば、官公庁が発行する住民票や戸籍などさまざまな書類には元号が用いられています。このため、新しい元号をシステムに追加する措置が必要になると思います。また、 生命保険 会社や損害保険会社でも、顧客へ提出する保険料の見積書や、契約者に交付する保険証、保険料の控除証明書などにも元号が表示されているため、保険会社のシステムにも新しい元号を追加する必要がでてくると思います。他にも、システム変更が必要な業界は多く発生すると思われますので、IT業界は人手不足に陥るかもしれません。また、元号の改正時期の見通しによっては、印刷業界にも新たな需要が発生する可能性はあります。企業や官公庁が使用している封筒や印刷物に「平成」と記されたものがあれば、新たな元号を記した印刷物に変更する必要がでてくるからです。
昭和から平成へ元号が変わったときの、IT業界などへの影響
昭和天皇の崩御時には以下のようなことが起こりました。昭和天皇が崩御してから、新たな「平成」という元号が内閣官房長官から発表されるまで、わずか数時間でした。このため、官公庁をはじめ金融機関で印刷される帳票、印刷物などは、平成時代に入っても当分は「昭和」のままでした。当時のIT業界は、大急ぎで官公庁や金融機関など各民間企業のシステムへの元号追加作業を実施しました。また、カレンダー業界も大慌てで新たなカレンダー作成作業に入り、12月23日を天皇誕生日としましたが、4月29日がどうなるのか政府と国会の対応がなかなか決まらなかったため、結局カレンダー業界には特需は発生しませんでした。そして、印刷業界には特需が発生しました。官公庁や民間企業が使用している大量の封筒や印刷物には、「昭和」という元号が記載されていたため「平成」に切り替えたり、元号使用を取りやめて西暦に切り替える企業が続出したのです。