2016/8/11経済・ビジネス
参議院選挙の投開票の翌日から、どうして円安トレンドになってるの?
・参議院選挙で自民党が大勝し、財政出動と新たな
金融政策
への期待感からドル円
相場
が
円安
トレンド
へ転換した
・選挙では自民党は財政出動を前面に出し、民進党は富裕層への増税と弱者への再分配を主張した
・第二次安倍政権発足以来、
円安
政策を経済政策の主軸に据えて
円安
を加速させてきたが、現状はアメリカがドル安
円高
を強く求めている。
参議院選挙の結果、ドル円相場はドル高円安に反転した
参議院選挙の結果、自民党が追加公認を含めて単独過半数を獲得しました。これを受けて、ドル円 相場 は投票日前の金曜日には1ドル100円台まで 円高 が進行していましたが、選挙後には106円台まで 円安 トレンド が進んでいます。この理由は、安倍政権が景気を浮揚させるために、国債を発行して10兆円規模の財政出動をするのではないかという期待と、7月下旬に予定されている 金融政策 決定会合で日本銀行が新たな金融緩和政策を打ち出すという期待が背景にあるとみられています。また参議院選挙後に、現在はコンサルタント業を営むアメリカFRBのバーナンキ前議長が、安倍総理と会見したり、日本銀行を訪問するなどしたため、日本政府がヘリコプターマネー政策を導入するのではないかという観測が流れたことも、 円安 トレンド となった要因と見られています。
参議院選挙で訴えた与党と野党の政策と、ドル円相場の関係性
与党の政策は、これまでの金融緩和一辺倒から転換して、財政出動と規制緩和を訴える内容となっていました。この2つの政策で経済を浮揚させると主張していました。国債を発行して財政出動すれば、財政健全化は遠のきますので、ドル円 相場 は 円安 へと向かうことになります。一方、野党第一党の民進党の政策は、富裕層に対する増税を実施して弱者に再分配する経済政策を掲げました。また、財政健全化を重視しています。そして、金融緩和政策に対してもバブルを発生させる要因として反対しています。この3要素が原因となり、仮に民進党が参議院で過半数を獲得したならば、ドル円 相場 は大きく 円高 方向へ向かい1ドル90円台に突入したものと予想されます。
これまでの安倍政権の金融政策とドル円相場の動き
2012年12月に第二次安倍政権が発足したあと、2013年4月には日本銀行が大規模な金融緩和を実施し、2014年10月には追加緩和を実施し、次々と 金利 水準を押し下げる政策を断行してきました。これに伴って、ドル円 相場 は1ドル80円台から120円台へと大きく 円安 トレンド へ動いていきました。しかし、2015年に入るとアメリカ企業の業績に陰りが見えてきました。急激なドル高によってアメリカの輸出企業の業績が落ち込んだのです。これを受けて、アメリカのルー財務長官の発言は「 円安 容認」から「ドル安誘導」へと明らかに変化を示しました。一方、日本は2014年4月に消費増税を実施して以来、個人消費が低迷を続け、 経済成長率 も0%台となっていました。このため日本銀行は、再度 金利 を低めに誘導して経済を浮揚させようと目論見、2016年1月にはマイナス 金利 の導入をしました。しかし、ドル円 相場 は期待に反して1ドル121円台から111円台まで大きく 円高 トレンド へ動いてしまいました。投資家の間では、もはや日銀には量的緩和を実行する余力がないという共通認識が生まれたほか、マイナス 金利 を導入すれば銀行の業績に多大なマイナスインパクトを与えるという懸念が生まれたとも言われています。この意図せざる 円高 により、2016年7月現在においては、 金融政策 面では「できることは、もうない」状態に追い込まれたと見られています。