2016/8/16経済・ビジネス
日銀のETF買い入れ増額効果は限定的か?
・
ETF
(上場投資
信託
)とは指数に連動した、上場されている投資
信託
です
・過去に日銀は株価を買い支えるため、
ETF
の買い入れを行ってきました
・今回の日銀会合で
ETF
の年間購入額を倍増させ、その効果が注目されます
ETF(上場投資信託)とは何なのか
ETF
(上場投資
信託
)とは、
日経平均株価
や
TOPIX
(東証株価指数)に連動した値動きになる
ように設計されている、上場投資
信託
です。例えば、
日経平均株価
に連動する
ETF
であれば、
ETF
の
運用会社
が、日経平均に採用されている全銘柄を、指数の動きに合わせて購入したり、売却したりします。この結果、
ETF
は
日経平均株価
に連動した値動きとなります。また、この
ETF
は上場されていますので、株を購入するのと同じように、
ETF
を購入することで、
日経平均株価
や
TOPIX
を購入したのと、同じ効果が期待出来ます。初心者の方などは、個別株を運用するのはまだ自信がなくても、
日経平均株価
などよく知られた指数に連動した
ETF
などであれば、運用しやすいのではないかと考えられます。実際に、証券会社などでも
ETF
を株式投資のきっかけにしようとPRしています。なお、
ETF
は
日経平均株価
の10倍程度から購入でき、そういう意味でも初心者に向いていると投資商品と言えるでしょう。
日銀がETF買いを始めた理由
日銀は白川前総裁時代の2010年12月から、 ETF の買い入れを始めました。当時から、日銀が リスク の高い ETF を買い入れて大丈夫なのかという意見もありましたが、当時 円高 で低迷していた、株式市場からの強い要請に答えざるを得ませんでした。その後も、日銀による追加緩和の要請が出る度に、 ETF の買い入れ額増額は続きました。以前は、前引け段階で TOPIX が1%以上下落していると、後場に日銀の ETF 買いが入り、 相場 を支えるというようなことが言われてきましたが、現在はそのようなルールは当てはまらず、定期的に ETF を購入しています。ちなみに 黒田総裁 に変わり、日銀が買い入れる ETF の額を増加させた結果、日銀が現在保有している ETF は、推定で8兆円にのぼると言われています。
ETF購入額倍増の効果は
7月28、29日に行われた、日銀の 金融政策 決定会合ではイギリスによるEU離脱の不透明感を払拭するため追加緩和が行われ、 ETF の年間購入額を3.3兆円から6兆円にほぼ倍増させました。株式市場にとっては予想以上の増額ということもあり、 日経平均株価 は追加緩和発表直後には 急騰 したものの、その後は8月上旬に下げたこともあり、現在は日銀会合を多少上回る値で推移しています。元々、 日経平均株価 などは 円高 やNY市場の動向に左右されやすく、日銀の年間購入額が6兆円になったとしても、株価の大きな上昇要因にはならないでしょう。しかし、日銀が買い支えてくれるという安心感は株価の 下値 を支えると考えられ、一定の効果はあるものと考えられます。今後、米の利上げや、イギリスのEU離脱が現実味を帯びた場合などは、日本の株式市場も 調整 するものと考えられ、ここで日銀の ETF 買い支えが効果を発揮するか、注視する必要がありそうです。