2016/8/21経済・ビジネス
ウナギ味ナマズは受け入れられるか??
・ウナギの漁獲量が長年にわたって減少しており、漁獲規制を実施してウナギの稚魚を保護管理しなければならない状況にあるため、代替品としてウナギ味ナマズの開発が試みられた
・ウナギ味ナマズは、ウナギよりも25%程度割安な価格が実現し、ウナギほどの脂は感じられず淡白な味わい
・国内でのウナギ類の市場規模は、12万トンから14万トンと言われており、ウナギ味ナマズの潜在的なマーケットは巨大である
なぜウナギ味のするナマズを開発することになったのか
長年、日本のスーパーで販売されてきたウナギの資源状態は、独立行政法人水産総合研究センターによると、漁獲統計をみるかぎり長期的にみて減少傾向にあり、今後も低水準の漁獲量で推移すると予想されています。そして、漁獲量を回復させる方策として、漁獲規制を実施してウナギの稚魚を保護する資源管理を実施する方向にあります。
ちなみに、日本でのウナギの漁獲量は1960年頃の約3500トンをピークに低減傾向を示しており、2011年の漁獲量は230トンまで減少しました。
このような事情を背景に、近畿大学の世界経済研究所に対して、ウナギの養殖業者や蒲焼き業者が代替商品となる魚を探してほしいと相談してきたことがきっかけで、ウナギの代替商品開発が始まったようです。
ウナギに類似した味を実現しなくてはいけないのと同時に、市場競争で勝てるだけの低コストの食材でなければならないという観点で、20種類以上の魚を蒲焼きにして食べた結果、ナマズならばエサの配合や水質管理によってウナギのような脂ののった蒲焼きを実現できるのではないかと判断したようです。
2015年に入ってから、ナマズに与えるエサの配合が決定し、水質や水の温度、エサを与えるタイミングなども決定し、ナマズ生産が開始されました。そして最後の段階で、蒲焼きで販売するために40パターンほどのナマズの切り方や焼き方など、工程で試行錯誤を繰り返して、スーパーでの店頭販売にこぎつけたようです。
ウナギ味ナマズの味や価格
スーパーの店頭で販売する前に、試食提供を開始したところ69%の消費者が、また食べたいと回答したようです。試食した人によると、本物のウナギの蒲焼きと比べると、やや大ぶりだそうです。そして、ナマズ特有の泥臭さは感じられず、食感はふっくらとしていて皮まで柔らかく、ウナギほどの脂は感じられず淡白な味わいだそうです。大手スーパーの
イオン
で店頭販売を開始したところ、用意していたナマズ20トンでは供給不足の状況となるほどの売れ行きになったようで、供給量を100トンに増やす準備に入りました。
また、販売した
イオン
では、価格については半身で1598円で販売し、同じサイズのウナギの2138円に比べて割安な価格設定が実現しました。
ウナギ味ナマズの今後の販売戦略
日本国内におけるウナギ類の市場規模は、1年間で12万トンから14万トンと言われています。このため、ウナギが市場に出回る量が減少傾向にある現状においては、そっくりそのままウナギ味ナマズがターゲットとすべき市場規模と認識できると思います。すでに、大手スーパーの イオン での販売実績が 堅調 であることから、国内での販売量の拡大は実現可能性が高いと予見されます。また、一部の航空会社の機内食としてもすでに採用されており、今後もウナギの代替商品としてさまざまな販売ルートを開拓できる可能性があります。そして、アメリカやアジア各国などからウナギ味ナマズについて問い合わせがきており、ウナギ味ナマズを世界各国に輸出することによって販売量の拡大を図れるかもしれません。