2016/8/21経済・ビジネス
五輪選手と費用対効果はどうなの?
・リオ五輪での日本選手の活躍は目覚ましく、8月19日時点で金メダルを12個、銀メダルを8個、銅メダルを21個獲得しており、国別メダル獲得数では第6位につけている
・カジュアル衣料ユニクロを運営する
ファーストリテイリング
や、
日本航空
、WOWOWなどが有名五輪選手とスポンサー契約を締結している
・広告宣伝における経済効果の算出方法は確立していないが、ユニクロの世界的認知度は明らかに向上している模様
リオ五輪における日本選手のメダル獲得状況
リオ五輪での日本選手の活躍は目覚ましいものがあります。8月6日に、ウェイトリフティングで三宅宏実選手が銅メダルを獲得し、同日には水泳で荻野公介選手が日本選手として初めて金メダルを獲得して日本中を沸かせました。また、8月8日には体操男子団体も金メダルを獲得し、さらに同日には日本のお家芸といえる柔道でも、大野選手が男子73kg級で金メダルを獲得し、日本柔道復活を印象付けました。8月19日現在で金メダルを12個、銀メダルを8個、銅メダルを21個獲得しており、国別メダル獲得数では第6位につけています。
どのような企業が、有名五輪選手のスポンサーをしているのか
日本人選手で有名な人は、テニスプレーヤーの錦織圭選手だと思います。2016年4月の時点で、錦織選手とスポンサー契約を締結している企業は15社にのぼるそうです。有名な企業では、ユニクロの ファーストリテイリング 、 日本航空 、WOWOWなどが挙げられます。 ファーストリテイリング は、カジュアル衣料のユニクロブランドを世界各国に展開する企業です。同社は、2011年1月から錦織選手とアンバサダー契約を締結しており、それ以来、錦織選手はユニクロ製品のテニスウェアを着用しています。なお、 ファーストリテイリング は、テニスプレーヤーのジョコビッチ選手ともグローバルブランドアンバサダー契約を締結しており、ジョコビッチ選手もユニクロ製品のテニスウェアを着用しています。また、 日本航空 は国内の航空会社としては国際線首位、国内線2位で年間 売上高 が1兆3000億円を超える航空会社です。 日本航空 は、錦織選手と2020年までの5年間のスポンサー契約を締結し、錦織選手が移動する際にはファーストクラスを提供するという契約内容になっている模様です。WOWOWは、民間初の衛星放送会社で多くのスポーツイベントの独占放映権を獲得することで業績を伸ばしてきました。
五輪選手を支援している企業が得た経済的効果と、効果があがった事例
民間企業が五輪選手とスポンサー契約を締結する目的は、自社製品の広告宣伝効果やブランドの認知度向上を得ることにありますが、広告宣伝業界における具体的な費用対効果の算出方法はいまだに確立されていないのが現実です。そして、スポンサー契約といっても、選手が着用するウェアを売り物にするのか、あるいはブランドそのものを売り物にするのかという観点でも、契約の目的は異なります。実際、錦織選手が活躍してもユニクロのテニスウェアの売上はほとんど伸びていないようです。その代わり、ユニクロブランドの世界的な認知度は明らかに向上しているという調査結果が出ているようです。明白な好例としては、これは五輪開催には関係しませんが、2014年に全米オープン選手権で錦織選手が準決勝まで勝ち進んだときは、WOWOWが独占放映権を持っていたため、多くの錦織ファンが慌ててWOWOWに加入したという現象が発生したことは挙げられます。一方、大企業とスポンサー契約を締結できる五輪選手は一握りで、多くの選手は満足な支援を受けることができていません。そのような状況のなか、五輪選手を社員として雇用し、支援する企業が増えてきています。日本オリンピック委員会(JOC)の就職支援制度「アスナビ」を利用した入社実績が、2016年3月の時点で72社、約100選手となっているようです。選手にとっては競技活動を継続するための資金を確保できるだけでなく、引退後の生活設計も安心して描くことができます。実例としては、東海東京証券を傘下に持つ東海東京フィナンシャル・ホールディングスでは、五輪選手を社員として採用し、現役選手の間は競技活動に専念できる環境を整えるなど支援しました。この選手が五輪に出場したことにより、五輪期間中、東海東京フィナンシャル・ホールディングスの社名がテレビや新聞に連日報道され、会社の知名度が一気に向上したことから、億円単位の経済効果を得られたそうです。