2016/9/17経済・ビジネス
イーロンマスク氏とは何者か?波乱万丈なその人生と理念に基づく事業展開
・イーロンマスク氏の波乱万丈な人生と崇高な理念
・順風満帆とはいかない事業、死亡事故をおこしたテスラ社と、爆発事故を起こしたスペースX社
・イーロンマスク氏が考える未来
波乱万丈な人生と、彼の常人離れした才能と理念
イーロンマスク氏とは、スペースX社の共同設立者、およびCEO、テスラモーターズの会長兼CEOを務める、45歳のアメリカの起業家です。
また、最近テスラに買収された太陽光発電ベンチャー企業のソーラーシティ社は、マスク氏のいとこと共同で立ち上げ、マスク氏が会長に就任した企業です。
過去にはPayPal社の前身のX.com社を設立するなど、大変成功している起業家のように見えますが、起業した当時は「超多忙であれ」「起きている時は常に働く」との言葉通り、ハードワークを重ねていたようです。
イーロンマスク氏は、南アフリカで生まれ、独学でプログラミングを習得し、12歳で早くも商業ソフトウェアを販売するなど、若い頃からとびぬけた才能を発揮していました。
当時、アパルトヘイト問題で揺れていた南アフリカには徴兵制度がありましたが、マスク氏は「南アフリカ軍で黒人を抑圧することに時間を費やすのは良い方法に思えなかった」と考え、17歳で親戚を頼りカナダに移住。
カナダで小麦農場や野菜畑で働いたのち、クイーンズ大学への入学を経て、スタンフォード大学へ入学するも2日で退学し、弟とともにベンチャー企業を設立しました。
この企業は、後に
高値
で売却しています。
その後、PayPal社の前身のX.com社を設立し、こちらも
高値
で売却。
それらの売却益などで莫大な資金を手に入れたマスク氏は、自身の理念に従い、彼の夢をかなえるために、打ち上げロケット開発のスペースX社を起業、電気自動車会社のテスラモーターズに多額の投資をし、会長兼CEOになります。
そんな彼の理念は、簡単に言うと「人類を救う事」
日本では人口減少が騒がれていますが、地球全体で見ると人口は増加傾向にあり、人口爆発による地球での生活環境の悪化は以前から提言されています。
人口がどんどん増えることにより、食べ物の確保が難しくなったり、二酸化炭素が増えたりと、地球に住み続けるのは難しくなるのではないかという考えです。
この問題を解決するために、マスク氏は人類の火星移住の可能性を視野に入れ、スペースX社を設立したのです。
そして、この火星移住計画を進めるとともに、今の地球環境にできるだけ負担を与えない、という考えもあり、クリーンエネルギーを作る太陽光発電企業を設立したり、二酸化炭素を出さない電気自動車企業に投資したりしているのです。
困難が続く事業、それでもあきらめないマスク氏
理念に沿った企業を設立するなど、順調に夢に向かって突き進んでいるように見えるマスク氏ですが、その道は平たんなものではありませんでした。
記憶に新しいものとしては、2016年9月1日、フロリダのケープカナベラルでイスラエルの人工衛星「Amos6」が搭載されたスペースX社のロケット「ファルコン9」の打ち上げ前試験を行っている最中に、爆発事故が起きましたね。
幸いけが人などは出なかったようですが、このロケットに搭載されていたイスラエルの人工衛星は、フランスの企業とFacebookが、アフリカ14か国へインターネット環境を提供するためのものであったため、Facebookのプロジェクトに影響が出ているとのことです。
また、スペースX社は昨年6月にも爆発事故を起こしています。
テスラモーターズに関しては、今年の5月、自動運転中のテスラ「モデルS」がトレーラーと衝突し、初の死亡事故を起こしました。
日差しやトレーラーの車体の色により、センサーの識別がうまくいかなかったとか、ドライバーがDVDを見ながら運転し、自動運転技術を過信していたのではないかなどと推測されていますが、まだ原因の特定には至っていません。
テスラ社はこれを受けて9月11日に、運転者が一定時間ハンドルから手を放すと警告音がなり、それが続くと自動運転機能が使えなくなるなどの自動運転支援システムを更新しました。
マスク氏が描く未来と夢
自らの理念をもとに歩んできたマスク氏ですが、描く未来として前述の、人類の火星への入植の可能性や、長距離を走行でき、従来の電気自動車と比べ速度も出せるなどの、魅力的な電気自動車を人々に示していくことをあげています。
また、こちらはもう展開を始めていますが、テスラの電気自動車がアメリカを縦断できるように、電気自動車の充電ステーションの各地への設置などもあげられています。
事業展開としては、将来的にテスラは1兆ドル越えの時価総額を目指すとしています。
今後推進する事業として、細いチューブの中を高速で走るハイパーループ構想などもあげられており、こちらも期待が高まります。