2016/6/17経済・ビジネス
米利上げ見送りが今後の世界経済に与える影響とは??
アメリカのFRBが行おうとした利上げとはそもそも何なのか、なぜFRBは今回利上げを見送ったのか、FRBが利上げを見送った結果どのような影響があるのか、そういった点を簡潔に説明しています。
そもそも利上げとはなんなのか
アメリカの中央銀行であるFRBのイエレン議長が、2016年6月中の利上げを見送るという米利上げ見送りニュースが全世界を駆け巡りましたが、そもそもFRBの利上げとはなんなのでしょうか。
FRBの利上げとは、FRBが一般の銀行に貸し出す
金利
である政策
金利
を利上げするということです。この政策
金利
を利上げすることで、企業の投資や個人の消費が減速します。
その結果、加熱しつつある景気にブレーキがかかり、バブル景気の到来を防ぐことが出来るのです。
現在、アメリカの景気はバブルを心配しなければならないほど良いとはいえませんが、
政策
金利
の利率はわずか0.5%なので、景気の力と政策
金利
の利率が
見合っているとはいえない状況です。そのため、FRBは利上げを試みて、
景気の力と政策
金利
の利率が拮抗している状況に持っていこうとしているのです。
なぜFRBは利上げを見送ったのか
元々FRBは近いうちの利上げに積極的でした。それがなぜ、今回は利上げを見送ったのでしょうか。
その理由は直近の米国雇用統計にあります。6月初旬に発表された5月分の米国雇用統計は、
大幅なプラスが予想されていました。市場の予測では非農業部門雇用者数が前回より十数万人は増えると見られていましたが、ふたを開けてみると3万8千人しか増えませんでした。その結果、米国の景気改善状況に疑問符がつく結果になり株価等が下落し、早期の利上げが難しい状況になったのです。(一般的に利上げは景気を減速させる効果があります)ここで強引に利上げをしてアメリカの景気回復の腰を折っては本末転倒なので、米利上げ見送りという結果になったのです。
FRBが利上げを見送った結果どうなるか
FRBは6月中の利上げを見送りましたが、その事が世界に対してどのような影響を与えるでしょうか。
まず考えられる事は、
通貨
相場
でのドルの下落です。基本的にドルはアメリカの景気が良くなれば良くなるほど上がります。今回はアメリカの景気が利上げに耐えられないほど悪い
(少なくとも利上げすることをためらう程度の景気でしかない)
ことが証明されてしまったので、
相場
がドル安に傾きます。
よって、例えばドル円
相場
の場合、
円高
ドル安となります。事実FRBの利上げ見送りに影響を与えた米国雇用統計が発表された後、ドル円
相場
が2~3円ほど
円高
ドル安に傾きました。
他にもFRB利上げ見送りというネガティブな要素が脆弱な新興国の経済に悪影響を与える可能性があります。しかし、FRBは今年、あるいは近い将来の利上げを否定しているわけではないので、
影響は一時的、限定的なものに留まる可能性もあります。
例えば、次回や次々回の米国雇用統計のデータがよいデータだった場合、
あるいは中国経済が持ち直した場合、日本経済の勢いが回復するなど海外の経済が復調した場合は、何事もなかったかのようにFRBが利上げする可能性があります。ですから、今回の米利上げ見送りの影響を正確に見極めるには、もう2ヶ月ほど時間が必要になる事でしょう。