2016/12/19経済・ビジネス
現実と区別がつかない世界を作り出すSR(代替現実)技術とは
・基本的にはVR技術などを組み合わせ、人間の感覚を刺激するシステム
・映像や音などを組み合わせることで、現実と区別がつかない世界を作り出す
・現在は研究段階で商品化はされていない
現実と虚構がすり替わるSR技術
SR(Substitutional Realityの略称)技術は、映像や音などを組み合わせることで、虚構の世界と現実をすり替えてしまう技術です。人間は普段視覚や聴覚などを使って物事を判断していますが、VR(仮想現実)技術を利用した映像や、音、ジャイロセンサーなどを利用した加速度の連携を行うことで、作り出された世界を現実と錯覚してしまう事があるのです。
体験した人間が現実と認識できないことがSR技術の特徴で、映像や音に違和感を抱かない環境を含めたシステムで構築されています。現在は研究開発段階ですが、VRよりもさらに進んだ現実と区別がつかない体験が可能です。
研究開発は理化学研究所
SR技術の開発、研究を行っているのは理化学研究所です。既存の技術を組み合わせることでSR技術を生み出すことに成功しており、その可能性について研究を重ねています。
現在は試作機が存在し、一部メディアや研究機関に公開されたこともあります。
基本的にはHMD(ヘッドマウントディスプレイ)にVR技術で現実に撮影した人物や風景の映像を流し、さらに触覚やなどを組み合わせることでSR技術が完成します。
例えば特殊な椅子に座った状態で、足の動きに連動させて精密に映像に反映させれば、歩いている感覚を生み出せます。また、実際にはいない人物を画面上に表示させ、会話などを行うことも可能です。感触を再現するためのデバイスを追加すれば、物を触るという感触までも再現できるのです。
理化学研究所では過去や現在と言った時間軸にとらわれない体験ができるとしており、様々な応用が期待されています。
応用分野は広いものの商品化を目指している企業は少ない
SR技術はVR技術よりもリアリティを追求した技術の一つで、様々な世界を体験することが可能です。例えば、資料さえあれば数百年前の街並みを再現することも、実際の戦場を再現する事も出来ます。アミューズメント目的以外にも、医療目的やスポーツ、格闘技など、様々な応用範囲が期待できるのです。
また、実際の交通事故を再現して心理的な影響を分析するような、現実では不可能な実験を行うことも可能です。人間の認知能力や心理の研究に役立つのではないかと言われています。